HOUSE IN MYORENJI / 妙蓮寺の改修

の・ようなもの

マンションの一室の改修である。
既存の1LDKから間取りは基本的に変えず、納戸の壁を解体し、トイレの向きを90度回転させる程度の変更に留めている。10年ほど前に一度改修されており、設備も比較的新しかったため、照明器具以外はほとんどそのまま使用している。居室は既存仕上の上から無垢フローリングと漆喰仕上を施した。ささやかな介入としては、室と室、あるいは、室と外部との境を新たに大きな建具で設え直したことで、それらの間に帯状の領域ができあがったことである。そうしてつくられた領域には、特に用途らしい用途は与えない。代わりに、居室のニュートラルな仕上とは対照的に、ざらりとした質感をもった仕上を施した。リビングと寝室との間には、ベニヤで覆われた艶のある廊下、のようなものが、リビングとベランダとの間には、研ぎ出し平板が敷き詰められた剥き出しの土間、のようなものが、それぞれ生まれた。強いていえば、前者はプライベートな空間を隔てる緩衝帯で、後者は強い西日を和らげる減衰帯、である。玄関からつながる外部との社会的なバッファーと、ベランダからつながる外部との環境的なバッファー、という言い方もできるかもしれない。いずれも動線としては間延びしているし、部屋としては少々心許ない。しかしそこには、未分化な素地の状態ゆえの、モラトリアムな生活の予感がある。そうした、何か役割を担わされる以前の、可能性が開かれた状態に興味がある。nLDKの機能的な間取りの中に、まだ何ものでもない、生活の素地をそっと挿し込んだ。

所在地   神奈川県
主要用途  専用住宅(改修)
延床面積  71.73㎡
竣工    2025

photo Ryota Atarashi